鳥取藝住祭の制作で先々週、再度日野町に行ってきました。
6月の時点でお化けゴミ屋敷となっていた現地の古民家。
東京の自宅で音の制作を進めつつも
現地からの2転3転する通達に四苦八苦しながらの制作でした。
当日、蓋を開けるまで現場の状況が見えづらい状況の中
13時間に及ぶ移動の末、なんとか現地入り。
着いたその日から制作が始まりましたが、
当日は流石に意識もうろうとして、頭が動かない状況。
本格的な制作は翌日から開始となりました。
今回、音の作品なので、メインは音。
その音を、どうやって鑑賞してもらうか。
ということが最大の課題でした。
普段、展示作品を鑑賞する際、視覚からの情報が比重として大きく
聴覚へ訴えかけるものに触れる作品が少ない様に思っていました。
視覚を出来うる限り制限して、純粋な音のみをいかに届けるか。
四苦八苦しましたが、結局、最初に思っていた様に、
窓を塞ぎ、暗転して、ゆったり座れる椅子を配置し、
なるべく身体的活動を制限する様に仕向ける事で
聴覚へのアプローチを出来うる限り拡大する試みとなりました。
以下、今回の制作のコンセプトです。
普段の僕の演奏活動の中で 日々、秒単位で情報が行き来し、生活サイクル自体のタイム感が 速い現代の中で、 一曲2時間というのが当たり前のインド古典音楽のタイム感を 表現することは簡単なことではありません。
時代のタイム感は、良くも悪くもあらゆる表現に 大きく影響しているものの一つだと思います。
日野町に初めて訪れた時、 東京とのタイム感の違い 都心のそれとは全く違うゆったりとしたタイム感と、 どこにいっても流れている綺麗な沢、それによって育まれている土地の豊かさに触れ、 ここでなら普段は出来ない長いタイム感の表現が出来るのではと思いました。
この古民家の中で 空間の響きが最もインドの響きに近いのが 土間の空間でした。 日本家屋は、木と土と紙で出来ているので、 殆んどが反響の無いデッドな空間が多い中、 石造りのインドの建物のような土間の反響。 普通、音を使った表現では嫌煙される空間が 今回のイメージに合う場所でした。
多々良の山に入り、朝の鳥、夕方の沢のそば、虫の音、カエルの声、その土地に歌い継がれてきた祝言唄。 3つのスピーカーを使い、「自然」「現代」「伝統」の3つのコンセプトの録音を それぞれ個別にループ再生させて、水色からゆっくり緑色にグラデーションしていくような、変化していく音の重なり合いと、 4つ目のスピーカーで、表に置いたマイクの音の「今」の音を混ぜています。 そこに少しだけ、Aprlの牧唯くんのスパイスを加えています。 その音空間のゆっくりとした変化で 長いタイム感の体感を表現しました。
本質を見極めるために、形から求める目を塞ぐ。 目を瞑り耳を澄ませる行為が現代には必要なんだと思います。
いつの間にか眠ってしまうくらい、ゆったりして貰えたら幸いです。
6月の時点でお化けゴミ屋敷となっていた現地の古民家。
東京の自宅で音の制作を進めつつも
現地からの2転3転する通達に四苦八苦しながらの制作でした。
当日、蓋を開けるまで現場の状況が見えづらい状況の中
13時間に及ぶ移動の末、なんとか現地入り。
着いたその日から制作が始まりましたが、
当日は流石に意識もうろうとして、頭が動かない状況。
本格的な制作は翌日から開始となりました。
今回、音の作品なので、メインは音。
その音を、どうやって鑑賞してもらうか。
ということが最大の課題でした。
普段、展示作品を鑑賞する際、視覚からの情報が比重として大きく
聴覚へ訴えかけるものに触れる作品が少ない様に思っていました。
視覚を出来うる限り制限して、純粋な音のみをいかに届けるか。
四苦八苦しましたが、結局、最初に思っていた様に、
窓を塞ぎ、暗転して、ゆったり座れる椅子を配置し、
なるべく身体的活動を制限する様に仕向ける事で
聴覚へのアプローチを出来うる限り拡大する試みとなりました。
以下、今回の制作のコンセプトです。
普段の僕の演奏活動の中で 日々、秒単位で情報が行き来し、生活サイクル自体のタイム感が 速い現代の中で、 一曲2時間というのが当たり前のインド古典音楽のタイム感を 表現することは簡単なことではありません。
時代のタイム感は、良くも悪くもあらゆる表現に 大きく影響しているものの一つだと思います。
日野町に初めて訪れた時、 東京とのタイム感の違い 都心のそれとは全く違うゆったりとしたタイム感と、 どこにいっても流れている綺麗な沢、それによって育まれている土地の豊かさに触れ、 ここでなら普段は出来ない長いタイム感の表現が出来るのではと思いました。
この古民家の中で 空間の響きが最もインドの響きに近いのが 土間の空間でした。 日本家屋は、木と土と紙で出来ているので、 殆んどが反響の無いデッドな空間が多い中、 石造りのインドの建物のような土間の反響。 普通、音を使った表現では嫌煙される空間が 今回のイメージに合う場所でした。
多々良の山に入り、朝の鳥、夕方の沢のそば、虫の音、カエルの声、その土地に歌い継がれてきた祝言唄。 3つのスピーカーを使い、「自然」「現代」「伝統」の3つのコンセプトの録音を それぞれ個別にループ再生させて、水色からゆっくり緑色にグラデーションしていくような、変化していく音の重なり合いと、 4つ目のスピーカーで、表に置いたマイクの音の「今」の音を混ぜています。 そこに少しだけ、Aprlの牧唯くんのスパイスを加えています。 その音空間のゆっくりとした変化で 長いタイム感の体感を表現しました。
本質を見極めるために、形から求める目を塞ぐ。 目を瞑り耳を澄ませる行為が現代には必要なんだと思います。
いつの間にか眠ってしまうくらい、ゆったりして貰えたら幸いです。